長野ささら獅子舞

300年の時を超え、舞い継がれる地域の祈り

埼玉県行田市長野地区に伝わる「長野ささら獅子舞」は、久伊豆神社の秋季例大祭に奉納される伝統芸能です。

その始まりは、江戸時代中期の正徳3年(1713年)と伝えられ、300年以上にわたり、五穀豊穣、無病息災、家内安全を願う地域の祭礼として受け継がれてきました。

力強く躍動感あふれる舞は、笛の音色と歌声に合わせて繰り広げられ、見る人々を魅了します。

平成21年(2009年)7月30日には、その歴史的・文化的価値が認められ、行田市指定無形民俗文化財に指定されました。

三匹の獅子が織りなす伝統の舞

長野ささら獅子舞は、三匹の獅子によって演じられる「三匹獅子舞」の一つです。

法眼(ほうがん)、中獅子(なかじし)、後獅子(あとじし)の三匹を中心に、面化(めんか)、花持ち、笛方、歌い手などが加わり、一つの舞をつくり上げます。

行田市内に伝わる獅子舞の中でも、特に激しく荒々しい舞が特徴とされています。

また、獅子頭には古い形式を残す「竜頭獅子」の一種である「重箱獅子」が用いられ、後頭部には五色の紙飾りが取り付けられています。

この紙飾りは、舞の終了後に観客へ配られ、家内安全、無病息災、五穀豊穣のお守りとして大切にされてきました。

受け継がれる四つの演目

長野ささら獅子舞には、現在まで受け継がれてきた四つの代表的な演目があります。

笹掛り(ささがかり)

久伊豆神社の境内で奉納される舞です。

笹や神酒、獅子用の手提灯を立て、三匹の獅子が笹を中心に舞います。秋季例大祭の始まりを飾る演目です。

鐘巻(かねまき)

久伊豆神社に隣接する長久寺で演じられる舞です。

能や歌舞伎でも知られる安珍・清姫の道成寺説話を題材としており、物語性のある演目として長野ささら獅子舞を特徴づけています。

花がかり(はながかり)

通称:花割り/別名:雌獅子隠し

三匹の獅子によって演じられる、長野ささら獅子舞の代表的な演目の一つです。

「雌獅子隠し」とも呼ばれ、雌獅子をめぐって繰り広げられる獅子たちの動きが見どころです。

三匹の獅子が織りなす物語を、笛の音と歌に合わせた舞によって表現します。

弓くぐり(ゆみくぐり)

弓を用いた演目で、獅子たちが弓に関わる所作を繰り広げます。

祭礼の終盤を彩る舞として受け継がれています。

地域の人々によって守られてきた伝統

長野ささら獅子舞は、長い歴史の中で継承が途絶えかけた時期もありました。

昭和43年(1968年)頃には後継者不足によって一時中断しましたが、伝統の消失を惜しんだ地域の有志によって、昭和56年(1981年)に「長野ささら獅子舞保存会」が設立されました。

現在は、子どもから高齢者まで幅広い世代が参加し、舞や笛、歌などの技術とともに、地域に受け継がれてきた思いを次の世代へ伝えています。

未来へつなぐ、長野の誇り

獅子舞は、単なる舞踊ではありません。

五穀豊穣や人々の健康を願う祈りであり、地域の人々が集い、世代を超えて心を通わせる大切な文化でもあります。

時代とともに暮らしのあり方が変わる中でも、地域の先人たちが守ってきた伝統を受け継ぎ、次の世代へつないでいく。

長野ささら獅子舞は、これからも久伊豆神社の祭礼とともに、長野地区の歴史と人々の思いを未来へ伝え続けます。


奉納・公開について

奉納時期: 毎年9月の久伊豆神社秋季例大祭

主な奉納・演舞場所: 久伊豆神社、長久寺、一桜公園など

保存・継承: 長野ささら獅子舞保存会

文化財指定: 行田市指定無形民俗文化財(平成21年7月30日指定)

※奉納日程や演舞場所は年によって異なる場合があります。最新の日程は「お知らせ」をご確認ください。

出典・参考資料

出典主な根拠
行田市|長野の獅子舞起源伝承、構成、演目、奉納場所、文化財指定
埼玉県ぶんたま|長野の獅子舞伝統の特徴、獅子頭、紙飾り、保存会設立の経緯
埼玉県ぶんたま|長野ささら獅子舞特集保存会の活動、担い手、継承への思い